ワイヤレス通信がなくなったら

ワイヤレス通信がなくなったら

携帯の電波を届ける設備やWi-Fiが使えなくなったとき、生活と産業がどう変わるかを順番に追います。

最終更新日: 2026-01-03

前提条件

  • 携帯回線とWi-Fiが世界的に停止するとします。
  • 有線インターネットと固定電話は一部で残る前提です。
  • 端末やサーバー自体の故障ではないものとします。
  • 復旧時期は不明とします。

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タイムライン

直後

起きること

スマホがいきなり圏外になって、通話やメッセージ、SNSの送受信が止まります。 「え、今だけ?」と思って機内モードを入れ直しても、変化なし。焦りだけが増えます。 地図アプリや配車アプリが動かず、移動が一気にやりにくくなります。 学校や職場でも「連絡がつかない人」が増え、現場がざわつきます。

メカニズム

携帯の電波を届ける基地局や、その先の回線が止まると、端末はつながる相手を失います。 端末側は「つながり先」を探して電波を探し回るので、バッテリーの減りが早く感じることもあります。 Wi‑Fiも、電源や回線の影響を受けるので、同じタイミングで使えなくなることがあります。 多くのアプリは「通信できる前提」で作られているため、ログインや確認の場面で詰まりやすくなります。 (オフライン対応の地図やメモだけが、急に“頼れる存在”になります。)

影響

  • 連絡手段が途切れて、待ち合わせが崩れます
  • モバイル決済が使えず、現金に頼りやすくなります
  • 災害情報や交通情報が取りづらくなります
  • 迷子や道に迷う人が増えます
  • 仕事の連絡が止まって、現場が戸惑います
  • 家族の安否確認が難しくなります

ちょっとした対処

まずは「今いる場所」を決めて動かないのが強いです。合流がいちばん難しくなるので。 連絡先の紙メモ、集合場所のルール(例:駅の改札前)みたいな“アナログの約束”が急に価値を持ちます。

30分後

起きること

人の動きが目に見えて変わります。 駅前や繁華街では待ち合わせが乱れて、人がたまりやすくなります。 「来るはずの人が来ない」「どこにいるか分からない」で、同じ場所を行ったり来たりする人が増えます。 お店ではキャッシュレス決済が止まり、会計が遅くなって列が伸びます。

メカニズム

決済や順番待ちの仕組みは、サーバーと通信して「本人確認」や「状態の更新」をする前提です。 通信が切れると、端末の中では処理できても、最後の確定ができません。 地図の“現在地”はGPSで出ても、渋滞や運行情報などの更新が止まり、判断材料が一気に減ります。

影響

  • 交通の混雑が長引きます
  • 店舗の回転率が落ちます
  • 現金の引き出しに人が集まり、ATMが混みやすくなります
  • 予定変更が共有されず、トラブルが増えます
  • 迷子対応や案内所の負担が増えます

ちょっとした対処

集合は「時間」より「場所」を固定すると強いです(例:駅の〇番出口の前)。 お店は「現金のみ」「後で精算」など、ルールを短い言葉で掲示できると混乱が減ります。

3時間後

起きること

“困った”が“回らない”に変わってきます。 配達や移動の手配が滞り、生活と仕事の段取りが崩れてきます。 現場連絡は電話や紙のメモに戻り、作業スピードが落ちます。 「確認→共有→次の人が動く」という流れが切れて、二度手間や待ち時間が増えます。

メカニズム

配車・配送は、位置情報とその場での更新(再計算)を繰り返して成り立っています。 無線が使えないと最適な順番が見えづらくなり、人の判断と経験に頼る比率が増えます。 在庫管理や勤怠管理も、リアルタイム同期が止まると「最新がどれか分からない」状態になりがちです。

影響

  • 物流の遅れが出始めます
  • 店舗の欠品が増えます
  • 顧客対応の待ち時間が伸びます
  • 学校や塾の連絡が滞ります
  • 交通機関の遅延情報が追えず、移動の失敗が増えます
  • 予定表の共有が止まり、会議や作業の抜け漏れが増えます

ちょっとした対処

現場は「伝える内容を減らす」が効きます。要点(誰が/どこで/何を/いつまで)だけに絞る。 個人は、地図や連絡先を“オフラインで見られる形”にしておくと一気に楽になります。

12時間後

起きること

ここからは“対応疲れ”が出ます。 電話と紙で回す運用が増えて、ミスがじわじわ増えます。 「昨日のメモどこ?」「この人の受付は済んだ?」みたいな小さな混乱が積み重なります。 遠隔で見ていた設備や店舗の状況が追えず、現地確認(見に行く)が増えます。

メカニズム

連絡網や業務アプリは「すぐ更新できる」ことを前提に回っています。 遠隔監視(離れた場所から設備の状態を見る仕組み)は通信が切れると止まり、目で見に行く運用に戻ります。 そして何より、データの“正本(いちばん正しいやつ)”がどれか分からなくなるのが厄介です。

影響

  • 現場の臨時対応が増え、疲労がたまります
  • 売上予測や在庫判断が外れやすくなります
  • 安全連絡が遅れて、事故のリスクが上がります
  • 手作業(転記・照合・電話確認)が増えて、コストが上がります
  • 噂や憶測が広まりやすくなります(情報が少ないほど起きやすい)

ちょっとした対処

「記録の置き場所」と「記録の担当」を決めるだけで、混乱はかなり減ります。 連絡は“全部”じゃなく“最重要だけ”を通す。優先順位があるだけで崩れにくいです。

3日後

起きること

臨時運用が“仮の標準”になります。 予約や問い合わせが電話や窓口に集中し、待ち時間が増えます。 店や病院は臨時ルールで回し、記録は手書きが増えます。 「できる地域/できない地域」の差が、体感として出始めます。

メカニズム

無線前提の流れが止まるため、代替の連絡経路と記録方法が必要になります。 固定回線は便利ですが、同じところにアクセスが集中すると詰まりやすくなります。 この段階では、仕組みの問題というより「運用の設計」と「人員配置」の差が効いてきます。

影響

  • 行政・医療・交通の窓口が混み、待つ時間が増えます
  • 顧客対応の質が下がりやすくなります
  • 予約ミスや二重登録が起きやすくなります
  • 現金管理の負担が増えます
  • 仕事の進み方に地域差が出ます

ちょっとした対処

「受付のルール」「記入の書式」「確認の順番」を1枚にして貼ると、驚くほど事故が減ります。 個人は、用事を詰め込まず「一個ずつ片付ける」ほうが安全です(行ったのに無駄足、が増えがち)。

2週間後

起きること

“助け合い”と“格差”が同時に強まります。 固定回線のある地域が相対的に有利になり、情報格差が広がります。 公共施設では共同の連絡窓口が作られます。 学校や行政は紙の配布物を増やし、連絡は遅くなります。

メカニズム

無線が使えないと、設備の有無がそのまま生活の差になります。 自治体は掲示板、回覧、紙の通知など、届き方が確実な手段の比率を上げます。 企業や団体も、連絡網を「スマホ前提」から「複数手段」に組み替え始めます。

影響

  • 地域間の格差が拡大します
  • コミュニティ内の助け合いが強まります
  • 交通案内は紙や口頭中心になります
  • 生活インフラの予約が難しくなります
  • 学校は連絡帳や紙プリントが増え、先生の負担が増えます

ちょっとした対処

「掲示板に集約」みたいに、情報の集まり先を決めると強いです。点在すると探すだけで疲れます。 地域のキーマン(自治会、管理人、店主)が“情報ハブ”になりやすいので、そこを太らせるのが現実的です。

3か月後

起きること

“部分的に戻る”が増えて、暮らし方が変わります。 代替通信や地域内ネットが整備され、仕事のやり方が変わっていきます。 公共機関は限定的な通信網を用意し、重要情報をそこに集めます。 日々の連絡は、紙・電話・有線を組み合わせた運用が定着します。

メカニズム

小規模ネットや再配線、専用回線の導入で、部分的に通信が戻ります。 ただし広域での即時性は戻りにくく、段階的な運用が続きます。 ルール面でも、承認・発注・連絡の“順番”が見直され、シンプルな形に寄っていきます。

影響

  • 「すぐ返事」より「確実に届く」が重視されます
  • デジタルとアナログの二重運用が増えます
  • 配達や物流は事前計画が重視されます
  • 個人の通信コストが増えます
  • サービスの提供範囲が地域によって変わりやすくなります

ちょっとした対処

運用は「やることを減らす」ほうが回ります。連絡の種類を絞る、書式を統一する、など。 個人は、普段から“オフラインで回る習慣”(紙のメモ、現金、集合ルール)を持つと強いです。

2年後

起きること

便利さは完全には戻らなくても、“止まっても回る”が標準になります。 企業や学校では「通信がない前提」の手順が定着し、混乱は減ります。 重要な連絡は複数手段で届くようになり、緊急時の段取りが整います。 「連絡が来ない時間」を織り込んだスケジュール設計が当たり前になります。

メカニズム

有線回線の増設と分散配置が進み、通信が止まりにくくなります。 訓練やマニュアル整備が進み、手動運用が特別ではなくなります。 標準化(機器・手順・責任分界)が進むほど、現場は迷わず動けるようになります。

影響

  • 重要業務の継続性が上がります
  • コストは増える一方で、リスクは下がります
  • 地域の自立性が高まります
  • 通信サービスの評価軸が変わります(速さより、止まりにくさ)
  • 危機対応の教育が広がります

ちょっとした対処

強いのは「一発で正解」より「失敗しても戻れる」設計です。連絡も業務も。 組織は、定期的に“通信なし訓練”をやるだけで、現場力がかなり上がります。